コラム

育児休業取得状況の公表義務化について

育児・介護休業法に関して、事業主に対する雇用環境整備の義務付けや、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設などの改正が、令和4年に行われました。

これに引き続き、令和5年4月から、
従業員数1000人超の企業に対する、年1回の育児休業等取得状況の公表義務化
が施行されます。

公表時期

取得率の公表義務化は、“令和5年4月1日以後に開始する事業年度“から適用となります。ただし、公表するのは「公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度」における取得率です。

例えば、事業年度が4月から翌年3月の会社において、令和5年度に公表しなくてはならないのは、令和4年4月1日~令和5年3月31日の状況について、ということです。
なお、公表を行う期限の目安ですが、前事業年度終了後、おおむね3か月以内とされておりますので、上記の例では令和5年6月30日までに公表することとなります。

公表対象となる事業主

公表が義務付けられるのは、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主です。

「常時雇用する労働者が1,000人を超える」とありますが、一時的に1,000人以下になることがあっても、常態として1,000人を超える労働者を雇用している場合はこれに含まれます。正社員、アルバイト等の名称にかかわらず、過去1年以上雇用されている者または雇入れ時から1年以上の雇用が見込まれる者をいいます。

また、常時雇用する労働者数が1,000人以下であっても、その後、常時雇用する労働者数が1,000人を超えた場合にあっては、その時点から育児休業の取得の状況を公表する義務が課されます。

公表内容

下記①または②のいずれかの割合を公表する必要があります。

  1. 男性の育児休業等の取得率
  2. 育児休業等と育児目的休暇の取得率

具体的な算出方法は下記の通りです。

A:「公表前事業年度」

公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度のことです。
令和5年度に公表する場合、「令和4年度」となります。

B:「育児休業等」

産後パパ育休(出生児育児休業)や、育児・介護休業法第23条第2項、第24条第1項の規定に基づく措置としての休業も含みます。

C:「育児を目的とした休暇制度」

育児を目的とするものであることが明らかにされている休暇制度で、育児休業等及び子の看護休暇は除きます。
例えば、子の入園式・卒園式等の行事のための勤務時間中の外出を認める制度などがここでいう休暇制度に該当します。

また、育児休業を分割して2回取得した場合や、“育児休業”と“育児を目的とした休暇制度“の両方を取得した場合等であっても、当該休業や休暇が同一の子について取得したものである場合は、1人として数えます。

公表に当たっては、上記の①または②と合わせて、以下も明示する必要があります。

  • 当該割合の算定期間である公表前事業年度の期間
  • ①または②のいずれの方法により算出したものか

公表の方法

「インターネットの利用その他の適切な方法で一般の方が閲覧できるよう公表」することとされています。
自社ホームページでの公表のほか、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」にて公表する方法もあります。

また、任意で
・女性の育児休業取得率
・育児休業平均取得日数
なども公表し自社の実績をPRすることが推奨されています。

男性の育休取得率が高いということは、仕事と育児の両立ができる働きやすい職場であることをアピールすることになります。
対象となる企業は、公表期限に間に合うよう、早めに準備を推し進めて頂ければと思います。

お困りごとがございましたら、専門家である社会保険労務士にお気軽にお問い合わせください。

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