コラム

小学校休業等対応助成金 ~概要とQ&A~

小学校休業等対応助成金は、新型コロナウイルス感染症による小学校等の臨時休業等により、仕事を休まざるをえない保護者の休暇取得を支援するための助成金です。

支給対象となる休暇の取得期間は、令和5年3月31日までに延長されました。

下記①②の子供の世話のために仕事を休まざるをえなくなった従業員に対し、特別の有給休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除きます)を取得させた事業主がこの助成金の支給対象となります。

  1. 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休校などをした小学校など(保育所等を含みます)に通う子ども
  2. 新型コロナウイルスに感染した子どもなど、小学校などを休む必要がある子ども

助成内容

有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10

日額上限額8,335円

では、どのような場合に支給対象となるのか、Q&Aで詳しく見ていきましょう。

【小学校等の臨時休業等】

「小学校等」とありますが、小学校以外には何が含まれるのですか?
幼稚園、保育所、特別支援学校、認定こども園、認可外保育施設などが対象となります。
原則12歳までの子供が通う施設ですが、障害のある子供については18歳までの子供が通う施設も対象になります。
臨時休業の要請対象となっていない保育園が自主的に休園した場合、そこに通う子供の保護者は対象労働者になりますか?
直接の要請対象となっていない保育園等が休園した場合も対象となります。
小学校や保育所は休校しておらず、利用を控えるお願いも出ていませんが、感染予防のため自主的に登校を自粛しました。この場合は対象になりますか?
自主的な登校自粛は原則として対象になりません。ただし、学校長がやむを得ず出席しなくてもよいと認めた場合は対象となります。
普段放課後児童クラブを利用しています。小学校は休校していませんが放課後児童クラブが休業している場合、対象になりますか?
対象になります。
冬休み中は放課後児童クラブに預ける予定ですが、放課後児童クラブが休業した場合、冬休み期間中でも対象になりますか?
放課後児童クラブが本来利用可能であった日は、冬休み中でも対象になります。
小学校は臨時休校で放課後児童クラブは開いている場合、保護者が自主的に子供が通うのをやめさせて休暇を取得した場合、対象になりますか?
その場合も対象になります。
在宅オンライン授業が行われている場合、対象になりますか?
対象になります。その場合は申請時に、在宅オンライン授業に事実がわかる学校からのお知らせを添付します。
学年閉鎖や学級閉鎖は対象となりますか?
対象となります。

【子供について】

「新型コロナウィルスに感染したおそれがある子供」とはどういう状態の子供ですか?
・発熱等の風邪症状がある
・濃厚接触者である
 子供のことを言います。
子供に風邪などの症状はありませんが、感染予防のため自主的に小学校を休ませました。この場合、保護者は対象になりますか?

原則として対象になりません。ただし、学校長が出席しなくてもよいと認めた場合は対象となります。

濃厚接触者となった子供がPCR検査結果は陰性でしたが、保健所から自宅待機の支持がありました。この場合、子供の世話をするために休暇を取得した保護者は対象になりますか?
学校長が出席しなくてもよいと認めた場合は対象となります。

【対象となる休暇】

年次有給休暇や欠勤を後から特別休暇に振り替えた場合、対象になりますか?
対象になります。なお、年次有給休暇を事後的に特別休暇に振り替える場合は、労働者の同意が必要です。
欠勤や無給の休暇を後から有給の特別休暇に振り替えましたが、賃金締め日を過ぎていたため、特別休暇分の賃金を翌月の賃金で支払いました。この場合は対象になりますか?
対象となりますが、申請時にその旨が確認できる書類(翌月分の給与明細など)の添付が必要です。
冬休みや土日・祝日に取得した休暇は対象になりますか?
・臨時休業等をした小学校等に通う子どもの場合
  →学校:日曜日や冬休みなど、授業日ではない日は対象外
  →その他(放課後児童クラブ等):本来施設が利用可能な日が対象
・新型コロナウイルスに感染した子ども、感染したおそれがある子どもの場合
  →授業日かどうかにかかわらず、その子どもの世話をするために休暇を取得した日が対象
半日単位や時間単位の休暇は対象になりますか?
対象になります。
勤務時間を短縮した場合は対象になりますか?
勤務時間の短縮は所定労働時間自体の短縮であり、休暇とは違うため対象となりません。
対象の特別休暇は、就業規則に規定しなければいけませんか?
就業規則の規定がなくても、要件に該当する有給の休暇を与えた場合には対象となります。
ただし、休暇制度について、就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいとされています。
退職した社員の欠勤で処理していた日を、事後に特別有給休暇に振り替えしました。この場合は対象となりますか。
申請対象者となります。 なお、退職した社員であっても、事後的に有給休暇に振り替える場合は、振り替えることについての同意を得る必要があります。

【賃金】

特別休暇中の賃金は全額支給しなければいけませんか?
全額支給する必要があります。また、その賃金は、年次有給休暇を取得する際に支払われる賃金と同等でなければいけません。
支給額の日額上限が決まっているのであれば、特別休暇中の賃金もあらかじめその上限額に合わせた額にして良いのでしょうか?
そのような取扱いをした場合は助成金の対象となりません。特別休暇中の賃金は助成金の上限額とは関係なく、年次有給休暇に対して支払われる賃金と同等の額である必要があります。
通勤手当や家族手当、ボーナスを申請金額に含めてもよいのでしょうか?固定残業代はどうなりますか?
「通常の賃金額」は、所定労働時間労働した場合に支払われる賃金額を指します。
このため、臨時に支払われた賃金や割増賃金のように所定時間外の労働に対して支払われる賃金は「通常の賃金」に含みません。
ただし、固定残業代制を採用している場合の定額の固定残業代は通常の賃金に含みます。
通勤手当については、実際に出勤して労働したことに対して支払われる実費補償的性格のものは、通常の賃金に含めることができません。
特別休暇について通常の賃金額とは異なる一定額の手当を支給した場合は対象になりますか?
年次有給休暇の場合に支払う賃金の額と同額以上の手当を支払っていれば対象になります。
ただし、同額を上回った金額分については支給の対象外です。
年次有給休暇の賃金支払いについては平均賃金の額を用いていますが、「年次有給休暇を取得した場合と同等の賃金が支払われている」という要件を満たしますか?
年休を取得した際に支払う賃金は「平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、標準報酬月額」のいずれかを用いることができます。
今回の有給休暇についても年次有給休暇と同じいずれかの方式で賃金が支払われていれば、「年休と同等」の要件を満たすこととなります。

【保護者】

対象となる保護者は父母だけですか?祖父母が仕事を休んで孫の世話をした場合はどうなりますか?
父母だけでなく、子供を実際に世話する者が対象の保護者となります。祖父母の場合も対象になります。
子どもが新型コロナウイルスに感染し小学校等を休んでいる状況で、保護者も新型コロナウイルスに感染し仕事を休んだ場合は、助成金の対象になりますか?
保護者自身の健康状態に関わりなく、新型コロナウイルス感染症に関連して小学校等の臨時休業等に よりその小学校等に通う子どもの世話を行うこととして有給休暇を取得した場合は、対象になります。
ただし、保護者が入院または宿泊療養をしており子どもが自宅で療養している場合のように、「子どもの世話をすることができない」と考えられる期間については対象となりません。
両親が保護者として同時に休む場合、両親ともに対象になりますか?その両親が同じ会社に勤めている場合はどうなりますか?
保護者として子どもの世話をする必要がある場合には、子どもの人数にかかわらず、両親など複数の保護者が同時に休む場合も対象になります。同じ会社に勤めている場合でも同様です。

【対象労働者】

代表者や会社の役員は対象になりますか?
法人の代表取締役や個人事業主は労働者に当たらないため対象になりません。
ただし、代表取締役以外の役員については、実態として、労働基準法上の労働者に当たるかどうかで判断します。
退職する予定の従業員は、対象になりますか?
申請日時点で1日以上勤務したことがある労働者であれば、退職予定者でも対象になります。
育休中の従業員は対象になりますか?
育休中に特別有給休暇は発生しないので、対象になりません。

【申請・その他】

申請は事業所ごとですか?それとも法人ごとですか?
事業所ごとではなく、法人単位で申請します。
申請期間はいつからいつまでですか?
●令和4年10月1日から同年11月30日までに取得した有給休暇については、
 令和4年10月1日から令和5年1月31日まで(都道府県労働局必着)
●令和4年12月1日から令和5年3月31日までに取得した有給休暇については、
 令和4年12月1日か ら令和5年5月31日まで(都道府県労働局必着)です。
申請書の所定労働日数、所定労働時間の欄はどのように記入すればよいでしょうか?
「1か月の所定労働日数」の欄には、有給休暇を取得した日を含む月(1日から月末まで)の所定労働日数を記載します。
・会社カレンダーや企業で定める所定労働日を記載します。
・シフト勤務などにより1か月の所定労働日数が変動する場合は、シフト表等によりその月に予定されていた労働日数を記載します。

 

「1日の所定労働時間」の欄には、有給休暇を取得した日の1日の所定労働時間を記載します。
なお、賃金額、日数、時間について、労働契またはや就業規則に定める内容を記載することもできます。その際は、その事実が確認できる資料を添付します。

複数の月にまたがり有給休暇を取得した場合、申請書に記入する「1か月の所定労働日 数」はどのように記入すればよいでしょうか?
休暇を取得した複数月の平均の所定労働日数を記入ます。
例えば10月(所定労働日19日)、11月(所定労働23日)、12月(所定労働日22日)の場合、10月から12 月の所定労働日の合計(64日)÷3=21.33日となるため、21日と記載します(小数点が出る場合は小数点以下を四捨五入)。
シフト勤務のため、日によって1日の所定労働時間が異なります。申請書の「1日の所定労働時間数」はどの日について記入すればいいですか?
各有給休暇取得日の所定労働時間数の合計を、有給休暇取得日の総日数で割った平均所定労働時間数を記入します。

新型コロナウィルス感染症も第8波に入り、この冬は小学校休業等対応助成金の利用も増加すると見込まれます。

申請には期限があります。令和4年12月1日から令和5年3月31日までに取得した有給休暇について申請できるのは、令和5年5月31日までです。
事後に振り替えた休暇分も含め、期間中に申請しましょう。

会社が小学校休業等対応助成金を利用しない(特別有給休暇を与えない)場合には、労働者が個人で直接申請できる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の制度があります。

事業主は小学校休業等対応助成金の趣旨をよく理解し、従業員が休暇を取得しやすい環境整備、制度整備に努めましょう。

この記事をシェアする