人材開発支援助成金
令和7年度は、「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」の4つにコースがまとめられ、利用促進のため、賃金助成額の拡充、計画届等の申請手続の見直しが行われています。
人材育成支援コースは有期労働者に対する助成メニューを整理、重点化しており、助成率と賃上げ要件等昨年度からの変更点に留意が必要です。
人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、労働者のキャリア形成の促進を目的とした助成金のことを指します。 企業が社員の職業能力開発の一環として、専門的知識や技能獲得のため制度導入に取り組んだ場合、その経費や賃金の一部が助成される制度です。
社内の訓練でも社外の訓練でも社員教育に熱心な企業は是非利用していただきたい助成金です。
対象条件
次のいずれかに該当する、計画に基づいた職業訓練を行うこと、または制度を導入・実施すること
①人材育成支援コース
さらに活用しやすくするため令和7年4月1日に見直しがされました。
労働者に職務に関する知識や技能を習得させるため、計画に沿った職業訓練等を実施した場合に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成するコースです。
- 人材育成訓練
労働者の職業能力開発及びキャリア形成を促進する為に推進者を選任し、計画に基づく訓練を実施した事業主に助成。
- 認定実習併用職業訓練
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた実習併用職業訓練を職業能力開発の措置として位置づけ、当該実施計画が厚生労働省大臣の認定を受けられた時に事業主に対して助成する。
- 有期実習型訓練
有期契約労働者等が職業訓練による能力開発機会を通じ職業能力の向上が図られ、正規雇用労働者等への転換等を行う目的で職業訓練を実施する事業主へ助成する。
②教育訓練休暇付与コース
- 教育訓練休暇制度
3年間に5日以上の取得が可能な有給教育訓練休暇制度を導入し、社員が当該訓練休暇を取得して訓練を受けたとき
- 長期教育訓練休暇制度
自発的職業能力開発を受けるために必要な30日以上の長期教育訓練休暇制度を新たに導入し、休暇を取得させたとき
- 教育訓練短時間勤務等制度
30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除が可能な制度を導入し、制度を利用させたとき
③人への投資促進コース
令和4年度新設されました。従業員の学び直しへの支援、デジタル分野などの社員教育にご活用ください。
主な要件は下部をご覧ください。
④事業展開等リスキリング支援コース
新規事業の立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための職業訓練を計画的に実施した事業者に助成されます。
人への投資促進コース 5つの対象訓練
(1)高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
高度なデジタル分野の資格を取ってもらい、核となる人材として働いてほしい会社にピッタリの助成金です。
高度デジタル人材※・高度人材を育成のための訓練や、海外を含む大学院での訓練を行う事業主に対して高率助成されます。
- ITSS(ITスキル標準)レベル4若しくは3となる訓練又は大学への入学(情報工学・情報科学)
(2)情報技術分野認定実習併用職業訓練
IT未経験の従業員にも、ITの内容を覚えてもらい、即戦力となる人材を育成したい会社にピッタリの助成金です。IT分野未経験者の即戦力化のための訓練※を実施する事業主に対して助成されます。
- OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
(3)長期教育訓練休暇等制度
労働者の自発的な学び直しのための時間を確保したい会社にピッタリの助成金です。
働きながら訓練を受講するための長期休暇制度や短時間勤務等制度を導入する事業主へ助成されます。
(4)自発的職業能力開発訓練
労働者の自発的な学び直しの費用を支援したい会社向けの助成金です。
労働者が自発的に受講した職業訓練費用を負担する事業主へ助成されます。
(5)定額制訓練
オンラインの定額受け放題サービスで効率的に訓練を受けさせたい会社向けの助成金です。
労働者の多様な訓練の選択・実施を可能とする「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)を利用する事業主に対して助成します。一訓練あたりの対象経費が明確でなく、同額で複数の訓練も受けられるeラーニング及び同時双方向型の通信訓練で実施されるサービスが対象になります。隙間時間に研修を受けることも可能です。
令和4年度から、eラーニングによる訓練及び通信制による訓練も人材開発支援助成金の助成対象となりました。

どのような助成金が受給できるか診断してみませんか?
助成金を熟知した社会保険労務士が、貴社に最適な助成金を診断します。
以下のアンケートフォームよりご依頼ください。
助成額
支給対象となる訓練等経費助成 | 中小企業 | 大企業 | ||
---|---|---|---|---|
人材育成支援コース | ||||
人材育成訓練 | ()内は賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合の助成率加算割合 | |||
A:正規雇用労働者等の場合 | 経費助成 | 45%(+15%) | 30% (+15%) | |
B:非正規雇用の場合 | 70%(+15%) | ― | ||
A,B | 賃金助成〈1人1時間あたり〉 | 800円(+200円) | 400円(+100円) | |
認定実習併用職業訓練 | ()内は賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合 | |||
経費助成 | 45%(+15%) | 30%(+15%) | ||
賃金助成〈1人1時間あたり〉 | 800円(+200円) | 400円(+100円) | ||
OJT実施助成〈1人1コース当たり〉 | 20万円(+5万円) | 11万円(+3万円) | ||
有期実習型訓練 | ()内は賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合 | |||
D:正社員化した場合 | 経費助成 | 75%(+25%) | ― | |
E:正社員化できなかったが、支給決定までに一定要件を満たした場合※ | 70%(+30%) | ― | ||
※定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保等について定めていること、職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定・周知 | ||||
D,E | 賃金助成〈1人1時間あたり〉 | 800円(+200円) | 400円(+100円) | |
D,E | OJT実施助成〈1人1コース当たり〉 | 10万円(+3万円) | 9万円(+3万円) | |
教育訓練休暇付与コース |
||||
教育訓練休暇制度 | 制度導入・実施助成(1事業主あたり) | 30万円(36万円) | ||
長期教育訓練休暇度 | 制度導入・実施助成(1事業主あたり) | 20万円(24万円) | ||
長期教育訓練休暇度 | 賃金助成〈1人1時間当たり〉 | 1,000円 | 800円(1,000円) | |
教育訓練短時間勤務等制度 | 制度導入・実施助成 | 20万円(24万円) | ||
()内は訓練修了後に賃金を増額した場合 | ||||
人への投資促進コース | ||||
定額制訓練 | 経費助成率 | 60%(+15%) | 45%(+15%) | |
高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練 | ITスキル標準・DX推進スキル標準 レベル3・4となる訓練等 | 経費助成率:75% 賃金助成額:1,000円 |
経費助成率:60% 賃金助成額:500円 |
|
海外も含む大学院での訓練 | 経費助成率:75% 賃金助成額:1,000円(国内大学院の場合) |
|||
自発的職業能力開発訓練 | 経費助成率 | 45%(+15%) | ||
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT分野未経験者の即戦力化のための訓練 (OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練) |
経費助成率:60%(+15%) |
経費助成率:45%(+15%) |
|
OJT実施助成額 |
20万円(+5万円) |
11万円(+3万円) |
||
長期教育訓練休暇等制度 | 長期教育訓練休暇制度 (30日以上の休暇取得) |
経費助成額:20万円(+4万円) |
||
賃金助成額※有給休暇の場合:1,000円 |
賃金助成額※有給休暇の場合:800円(+200円)
|
|||
所定労働時間の短縮と所定外労働時間の免除制度 | 20万円(+4万円) | |||
()内は賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合 | ||||
事業展開等リスキリング支援コース | ||||
経費助成 | 75% | 60% | ||
賃金助成〈1人1時間あたり〉 | 1,000円 | 500円 | ||
1事業所1年度あたりの助成限度額:1億円 | ||||
受講者1人あたりの経費助成限度額 | 10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 | |
100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 | ||
200時間以上 | 50万円 | 30万円 |