コラム

国民年金保険料の「免除」と「納付猶予」について

国民年金の第1号被保険者は、毎月の保険料を全額納付しなければなりません。
しかしながら、失業や収入の減少など経済的な事情により納付が困難な場合、「免除制度」と「納付猶予制度」の2つの制度を利用することができます。
この2つの制度の違いや共通点を見ていきましょう。

下部によくある質問もまとめました!

免除制度とは

本人・配偶者・世帯主それぞれの前年所得が一定基準以下であれば、本人の申請により保険料の全額または一部の免除を受けることできる制度です。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

対象者

国民年金保険料を納めることが経済的に困難な方で、所得の基準を満たす方

所得の基準

本人・配偶者・世帯主の前年所得(申請が1~6月の場合は前々年所得)が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること ※令和3年7月からの額

・全額免除  →   (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
・4分の3免除 →   扶養親族等控除額+社会保険料控除額等+88万円
・半額免除  →    扶養親族等控除額+社会保険料控除額等+128万円
・4分の1免除 →   扶養親族等控除額+社会保険料控除額等+168万円

納付猶予制度とは

本人と配偶者の所得が一定額以下であれば、本人の申請により保険料の納付を先送り(猶予)にできる制度です。

対象者

保険料を納めることが経済的に困難な50歳未満の方で、所得の基準を満たす方

所得の基準

本人・配偶者の前年所得(申請が1~6月の場合は前々年所得)が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること。 ※令和3年7月からの額

・納付猶予 → (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

2つの制度の違い

Point1.年金額に反映されるか、されないか

・保険料を「免除」された期間は、将来受け取る年金額に一定額(全額免除の場合 で2分の1)反映されます。

「納付猶予」の期間は、追納をしない限り、将来受け取る年金額には全額反映されません

※「追納」とは、免除や猶予された期間の保険料を10年以内に遡って支払うこと

Point2.誰の所得基準で判断されるか

・免除は、本人・配偶者・世帯主のそれぞれの前年所得が審査の対象となります。

・納付猶予は、本人と配偶者の前年所得で判断されます。したがって、所得の高い世帯主と同居していても、本人と配偶者の所得が一定額以下であれば、納付猶予が受けられます。

2つの制度の共通点

Point1.追納

・どちらも10年以内に保険料の「追納」が可能です。追納することで、将来受け取る年金額を満額に近づけることができます。

Point2.受給資格期間

・免除や猶予を受ける期間も、将来老齢年金を受け取るための受給資格期間(10年以上の加入が必要)にカウントされます。

また、保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

「未納」との違い

・免除や猶予の制度を利用せずに保険料を納めなかった場合は「未納」の扱いとなり、その期間は受給資格のための加入期間としてカウントされないため、将来の年金受給資格に影響が出てきます。

・未納があると、障害や死亡といった不慮の事態が発生したときに、障害基礎年金・遺族基礎年金が受けられない場合があります。

ほかにもある免除・納付猶予制度

産前産後期間の免除制度

出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(以下「産前産後期間」といいます。)の国民年金保険料が免除されます。

多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の国民年金保険料が免除されます。

産前産後期間の免除制度は「保険料免除された期間」も保険料を納付したものとして、老齢基礎年金の受給額に反映されます。

学生納付特例制度

日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。

学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が一定以下の学生が対象となります。

なお、申請者本人のみの所得で判断され、家族の所得は問われません。

 (所得基準) ※令和3年7月からの額

  128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

「免除」も「納付猶予」も制度を利用するには本人が申請し、承認を受けなければなりません。

「免除」も「納付猶予」も受けず「未納」の期間があると、老齢年金の受給資格が得られなかったり、障害年金・遺族年金が受けられない場合があるなど、大きなデメリットがあります。

経済的に保険料の支払いが困難になった場合には、未納のままにせず、免除制度、納付猶予制度を利用しましょう。

【よくある質問】

Q1.失業しました。前年所得は一定額ありますが、免除を受けられますか?

退職や失業のために保険料の納付が困難となった場合、特例による免除を申請できます。退職・失業された方の前年所得をゼロとして審査します。

特例により保険料が免除される期間は、退職や失業した月の前月から、翌々年6月までです。

Q2.新型コロナの影響で収入が減少しました。免除を受けられますか?

新型コロナウィルス感染症の影響により保険料の納付が困難となった場合、臨時特例措置として本人申告の所得見込額を用いた簡易な手続きにより、免除申請が可能となりました。次のいずれにも該当する方が対象です。

 ①令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により業務が失われた等により収入が減少したこと。

 ②令和2年2月以降の所得の状況からみて、所得見込額が、国民年金保険料免除基準相当になることが見込まれる方

Q3.免除や納付猶予を受けるには、どうすれば良いですか?

免除も納付猶予も、本人が申請しなければ受けられません。

国民年金保険料免除・納付猶予申請書、所得の申立書等の必要書類を、住所のある市区町村の国民年金担当窓口、または年金事務所に提出してください。

Q4.免除申請は遡ってすることができますか?

免除・納付猶予は、最大2年1か月まで遡って申請できます。

Q5.免除された保険料を後から納めることはできますか?

免除された保険料は、10年以内なら後から納める(追納)ことが可能です。

免除された期間があると受け取る年金額が少なくなりますが、その期間を追納すれば、受け取る年金額は満額になります。

Q6.免除を受けると付加保険料はどうなりますか?

全額免除または一部免除が承認されると、付加保険料、国民年金基金は利用できません。

Q7.産前産後期間の保険料免除制度の特徴を教えてください。

産前産後期間の免除制度は「保険料を免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。また他の免除制度とは異なり、付加保険料を納付できます。

Q8.産前産後期間の保険料免除には手続きが必要ですか?

産前産後期間の保険料は届出をしないと免除になりません。 出産予定日の6か月前から届出ができ、平成31年2月以降の出産であれば、出産後の届出はいつでも可能です。

Q9.保険料を前納していますが、産前産後期間の保険料は戻ってきますか?

保険料を前納してる場合、支払った保険料は全額還付(返金)されます。

Q10.学生納付特例の期間はいつからいつまでですか?

学生納付特例の承認期間は、4月から翌年3月までの1年間です。

また、既に保険料を納めた月分は、学生納付特例の期間にはなりません。

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