コラム

テレワーク勤務による保険成立について

新しく会社を設立した際、法人であるか個人事業主であるか、また、従業員数や業種に応じて労働保険及び社会保険への加入が義務付けられています。
加入対象の事業所であるにもかかわらず未加入であったり、加入条件を満たしている従業員を加入させなかった場合は、さまざまな罰則が用意されています。

そのため、加入対象である場合は速やかに労働保険・社会保険の加入手続きを行う必要があります。

原則として、正社員であるかアルバイトであるかに関わらず一人でも従業員を雇用した場合は労災保険・雇用保険への加入義務があります。

  • 労災保険
    パート・アルバイトを含めた労働者はすべて加入しなければなりません。
  • 雇用保険
    労災保険加入者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ31日以上の雇用見込みがあれば必ず加入しなければなりません。

また、社会保険への加入が法律上義務付けられている企業を「強制適用事業所」といいます。
従業員が常時5人以上いる個人事業所等や、常時従業員を使用する法人事業所(従業員が0で、社長のみの場合も強制加入)は社会保険に必ず加入する必要があります。

社会保険の未加入が発覚し、年金事務所などに加入指導させられた場合、過去2年間に遡って未納分の社会保険料を徴取される場合もあります。

テレワーク勤務の場合

これは勤務形態がテレワークである会社を設立した場合も同様となりますが、テレワークであることにより労働者が働く場所が1か所に限られません。

そのため、保険加入の手続きや社内規定の適用にも通常と異なる点があります。

① 労働保険成立

通常、労働保険は労働者が実際に勤務している場を1つの事業場として成立を行います。

テレワークの場合、労働者は各自の自宅で勤務を行うこととなりますが、各自の自宅は事業場としての独立性は無いと判断されますので、その場合、オフィスの契約を行っている場合はそのオフィス、オフィスが無い場合は、代表取締役の自宅住所を事業場として届け出ることとなります。

② 社会保険成立

社会保険については労働保険とは違い、事業場ごとの成立ではなく採用、勤怠管理、給与計算など独立して人事管理を行っている事業所に成立を行います。

そのため通常通り上記管理を行なっているオフィス、オフィスがない場合は一括管理を行なっている者がいる場所として労働保険同様、代表取締役の自宅住所を事業場として成立を行います。

ここがポイント!

【テレワーク勤務時の賃金について】

地域別最低賃金は原則事業場がどこにあるかにより決定されます。

ただしテレワークにおいては労働者が勤務する場所(自宅)を事業場としては考えず、労働者が所属する事業場がある都道府県に定められた最低賃金が適用されます。

そのため、東京都に事業場のある会社に所属し沖縄県に在住している人を採用した場合は東京都の最低賃金を基礎として賃金を支払わなければなりません。

このようにテレワーク勤務の場合は例外も多く、既に適用している就業規則を適用すると矛盾が生じる可能性があります。

そのためテレワークに適した規定を就業規則に定めるか、別途テレワーク勤務規程を策定することが望ましいです。

規程内には出社指示をする際の通勤手当や、テレワーク勤務の際に発生する通信費等について定めることで労働者との認識違いを事前に防ぐことができます。

常時10人以上の従業員を使用する事業場は、就業規則の作成・届け出が義務付けられており10人未満の事業場には作成・届け出が推奨されています。

そのため作成・届け出を行っていない場合は就業規則に準ずる規則を作成したり、労使協定の締結を行うことがおすすめです。

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