業務改善助成金について
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、会社内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。
事業場内最低賃金の引き上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定後に計画どおりに事業を進め、事業の結果を報告することによって、設備投資等にかかった費用の一部が助成金として支給されます。
対象事業者の要件・申請の条件
中小企業、小規模事業者であること
「賃金引上計画」及び「事業実施計画」を策定し、交付申請書とともに、都道府県労働局へ提出すること
「賃金引上計画」:交付申請書を提出した年度(申請年度)に会社内で最も低い賃金の時間給等を引き上げる計画
「事業実施計画」:申請年度の業務改善にかかる経費の合計が10万円以上の計画
次の1~3を実施したこと(実施は、交付申請書の提出後、交付決定後に行う事)
- 賃金規定に規定
- 賃金改善の実施
- 業務改善の実施
その他
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引き下げなどの事由がないこと
以上の要件を満たした事業所は、工場や事務所など労働者がいる)事業場ごとに申請します
特例事業所の要件
以下の要件に当てはまる場合に該当します。
① 賃金要件:申請事業場の事業場内最低賃金が950円未満である事業所
② 物価高騰等要件:原材料等の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3ヶ月間のうち任意の1ヶ月の利益率が前年同月に比べて3%ポイント以上低下している事業場
→該当すれば、一定の自動車の購入やパソコン等の新規導入が認められる場合があります。
※「%ポイント」とは、パーセントで表された2つの数値の差を表す単位
対象となる設備投資の具体例
飲食業
- デリバリー拡充のためのコンサルティングと必要なシステム・機材「宅配用3輪バイク」「二層フライヤー」を導入して売上を拡大した
- キッチン業務の効率を上げる機器と「QRコードオーダーシステム」の導入により業務を効率化した
- スチームコンベクションオーブンの導入と厨房のレイアウト変更により料理の提供工程を効率化した
美容室
- 「サロン専用給湯システム」を導入することによって、時間短縮による業務効率化をした
- 理容室・美容室専用「業務管理システム」を導入し、経営情報を一元管理して業務効率化した
- オートシャンプーの導入により、頭皮環境及び髪の仕上がりが良好となったうえ、シャンプー及びトリートメントの施術に要する時間が短縮され、従業員が休憩時間を取りやすい環境となった
介護・福祉
- 巡回や介助を効率化する機器と新たな福祉車両の導入により、業務負担を軽減した
- リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮をした
医療
- 「顧客・帳簿管理システムの導入」による業務の効率化をした
- 歯科でデジタルレントゲン機器の導入により、画像が鮮明になり、現像作業が短縮され、ローラーのクリーニングや現像液の交換などのメンテナンスに要する時間や廃棄物が削減された
その他
- 駐車場料金精算用POSレジシステムの導入による精算業務のミスの削減と業務の効率化をした
- 業務効率化システムの導入により、伝票作成作業の効率化をした
- 赤外線治療器とセラミック電気温灸器の導入及び研修の実施により業務効率化を図ることで受入患者数を拡大した
- 業務用コードレスクリーナーの導入により、両手で作業していた階段清掃が片手で可能になって清掃単価が向上した事例
- 学習塾でWeb授業を実施するための機器(PC、カメラ、マイク等)の導入及びWeb授業専用ルームの設置により、Web授業の準備やそれに係る保護者への連絡等の事務作業が削減された
注意点
① 本社で労働保険を一括している会社であっても、本社での申請ではなく、設備導入等を行った事業所の管轄の労働局で申請を行う。
② 予算により締切前に受付終了となる場合があります。
変更点
① 特例事業所要件
新型コロナウイルスの影響を受けた事業所向けの「生産量要件」が終了
(賃金要件と物価高騰等要件は引き続き継続)
② 「生産量要件」又は「物価高騰等要件」の事業者に認められていた「関連する経費」が終了
(車・PCなどの導入は引き続き実施)
その他
① 令和6年度中に可能な申請回数は1回まで
② 事業場内最低賃金の引上げは1回のみ(複数回の引上げは助成対象外)
③ 申請期限は、令和6年12月27日
④ 事業完了期限は、令和7年1月31日
【社会保険労務士に代行を依頼するメリット】
助成金申請を社会保険労務士に代行してもらうと、次のメリットがあります。
① 事務コストが削減され、申請書類等の手間が省ける
助成金関係書類の作成は、計画・申請とかなりの時間を要します。そこは社労士の手を借りて事務コストの削減をし、経営に集中しましょう。
② 申請書の精度が高くなる
私達社労士には、多くの顧問先の助成金申請を作成してきた実績があります。助成金は様々な要件があり、計画書類や申請書類に不備があれば、修正や再提出、追加書類を求められたりします。社労士に依頼することで、このようなリスクは回避できます。
③ 労務のサポートが受けられる
社労士に依頼すると、雇用契約書や就業規則の内容に不整合はないか、残業代の払い漏れがないか等をチェックしてもらえますので、労務の課題が明確になります。また、人事労務の相談も可能なので、様々な問題点をクリアーにできます。