コラム

宿日直許可について

 
病院の「当直」と労働基準法の「宿日直」は同じではありません
 

宿日直とは病院の診療時間外となる夜間に泊まり込みで勤務を行う「宿直」と、休診日の日中に勤務を行う「日直」を合わせた言葉です。
一般的に外来診療を行っていない時間帯に、医師等が入院患者の病状の急変に対処するため 病院内に拘束され待機している状態を宿直(当直)といい、このような待機時間も一般的には勤務時間(労働時間)となります。
【宿日直許可】とは、労働基準監督署長から病院に対して出される宿日直に関する許可のことです。宿日直許可を受けた病院は、労働時間に関する規制や休憩・休日に関する規定の適用が除外されます。

労働基準法では、常態としてほとんど労働することがなく、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない宿直又は日直の勤務で断続的な業務(例えば、いわゆる「寝当直」に当たるような業務)については、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とすることを定めています(宿日直許可)。

まり【宿日直許可】を受けると、当直(宿日直)は労働時間ではないが、宿日直許可がない当直(宿日直)は、すべて労働時間になります。

「宿日直許可」の流れ

  1.  

    「断続的宿直又は日直勤務許可申請書」を作成し、労働基準監督署へ提出

    【添付資料】
    □ 対象労働者の労働条件通知書、雇用契約書の写し
    □ 宿日直勤務に従事する労働者ごとの、一定期間(例えば1か月)の宿直または日直勤務の従事回数がわかるもの(宿日直の当番表、シフト表など)
    □ 宿日直勤務中に行われる業務が発生する頻度、当該業務の内容及び当該業務に従事した時間について、一定期間の実績(または見込み)が分かる資料等(業務日誌等)
    □ 対象労働者全員の給与一覧表(法37条の割増賃金計算の基礎となる賃金)及び宿日直手当額計算書
    □ 対象労働者の給与一覧表の金額の疎明資料(賃金台帳(写)など)
    □ 事業場等を巡回する業務がある場合は、巡回場所全体とその順路を示す図面等
    □ 宿直の場合は宿泊設備の概要がわかるもの

  2.  
  3.  

    労働基準監督署で書類審査

  4.  

    実地調査(訪問調査)

  5.  

    「断続的宿直又は日直勤務許可書」交付

医師の「宿日直」のポイント

ポイント1 常態として、ほとんど労働をする必要がないこと

ポイント2 宿日直手当

宿日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就く事の予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人1日平均額の1/3以上である必要があります。

ポイント3 宿日直回数

原則、宿日勤務については週1回、日直勤務については月1回が限度となります。

ポイント4 その他

  • 通常の勤務時間の拘束から完全に開放された後のものであること
  • 宿日直中に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限る
  • 宿日の場合は、夜間に十分睡眠がとれることが必要
  • 上記以外に、一般の宿日直許可の際の条件を満たしている事が必要
  • 宿日直の許可は、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って得ることも可能です

「宿日直許可」の注意点

  • 許可を受けていても、緊急対応が恒常的であると、宿日直と認められず、取り消しされることもあります
  • 通常業務から継続して、宿直業務に入らないこと(60分位の空き時間が必要)
  • 宿日直業務中に通常の労働が発生した場合(突発的な事故による緊急対応等)には、労働時間として取り扱う必要があります
  • 許可の際には、「断続的宿直又は日直勤務許可書」を交付されますが、この許可書には宿日直の回数などの内容に関する「付かん」が記載されておりますので、この「付かん」の内容にのっとった宿日直勤務を行う必要があります

医師の労働時間に関しては「宿日直」の有無が大きく影響します。所轄の労働基準監督署へ宿日直の許可を受けると、医師が本来業務終了後などに、夜間帯に泊まり込み待機をする「宿直」、日勤帯に待機をする「日直」に対して労働時間や休憩に関する法令が適用されません。つまり、通常業務を行うわけではないため、「宿日直」は、時間外労働の上限規制(例:A水準の年960時間)には、その時間は算入されません。

宿日直の許可を受けていない医療機関は未だに多く、申請手続きには一定のハードルがありますので、医師の宿日直許可に関して、実績豊富な私どもへお問い合わせください。

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