社会保険調査 Q&A
算定基礎届の手続き時季は、社会保険(健康保険・厚生年金)調査が行われる時季でもあります。
この社会保険調査とはどういうものなのか、Q&A形式で見ていきましょう。
社会保険調査の概要や調査対象となる事項などについては、下記コラムをご覧ください。
- 「全国健康保険協会管掌健康保険及び厚生年金被保険者の資格及び報酬等の調査実施について」という表題の書類が届きました。これは何ですか?
- これがいわゆる“社会保険調査”です。これに対応することで調査が行われます。
- 社会保険調査はなぜ行われるのですか?
-
社会保険調査は、事業所や従業員が「正しく社会保険に加入できているか」、「手続きに漏れがないか」などを確認するために行われます。
- 社会保険調査はいつ行われますか?
-
主に毎年7月算定基礎届の提出時期に合わせて定期的に、あるいは随時必要なタイミングで実施されます。また、事業所が社会保険に新規に加入してから3か月以降にも行われます。
- 社会保険調査は毎年あるのですか?
-
既に社会保険に加入している事業所に対しては3年~5年に1回程度行われます。
- 社会保険調査を無視したらどうなりますか?
-
調査を拒否したり妨害したりすると、悪質な場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される場合があります。また虚偽の報告をした場合にも罰せられる場合があります。
- 社会保険調査に必要な書類は何ですか?
-
調査時に必要な書類は年金事務所により異なる場合もありますが、一般的には指定された期間分(主に2年間)の下記の書類が必要になります。
・賃金台帳 ・タイムカード、出勤簿 ・源泉所得税の領収書
・就業規則、賃金規定 ・雇用契約書 ・労働者名簿
- 調査はすべて郵送で行われるのですか?
-
必要書類を郵送する場合と、指定された日時に書類を管轄の年金事務所に持参する場合があります。またごく稀に、年金事務所の職員が事業所を訪問する場合があります。
- 社会保険調査でよく指摘されるのはどのようなことですか?
-
次の3つがよく指摘されます。
①加入対象の従業員やアルバイト・パートの人が未加入になっている
②社会保険の月額変更が漏れている
③賞与支払届が出されていない
- 上記Q&Aにあるような指摘をされた場合どうなりますか?
-
①の場合、最大2年間に遡って加入することになります。この場合、社会保険料も最大2年間分を一度に支払わなければなりません。②③の場合も、最大2年間遡って届出をし、その間の差額の保険料が一度に徴収されることになります。
- 手続きの漏れを指摘された場合、何か罰則がありますか?
-
よほど悪質でない限り、指摘があったという理由だけで直ちに罰則や罰金が課されることはありません。単純に忘れていた、間違った解釈をしていた、届出が必要だと気付かなかったなどのケースは、指摘事項に迅速に対応すれば大丈夫です。
-
会社にはタイムカードがなく、就業規則もありません。どうしたらよいでしょう?
-
必要な書類がすべて揃わない場合は、その旨を年金事務所に伝えます。別の書類で代用するのか、そのまま進めるのか、年金事務所から指示があります。
-
調査を忘れていて期日が過ぎてしまいました。
-
気づいた時点ですぐに年金事務所に連絡しその旨を伝えましょう。新たな期日を指定してくれるなり対応してくれます。
-
年金事務所に書類を持参しなければなりませんが、指定された日時に行けません。
-
行けないと判った時点で年金事務所に連絡してください。相談の上、日時の変更をするなど対応してくれます。
2022年10月から社会保険の適用は順次拡大されており、社会保険調査で未加入を指摘されることも多くなっています。最大2年に遡って保険料を徴収されるとなると、会社にとっては大きなリスクです。
従業員に加入漏れがないか、月額変更などの手続きは適正にされているか、人事担当者は日頃からチェックしておく必要があります。