「障害者雇用納付金制度」について
最初に、障害者雇用の促進に関する法律(障害者雇用促進法)に記されている事業主の責務を簡単にご紹介します。
全ての事業主は、障害者の雇用安定を図るように努めなければなりません。
- 障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する。
- 能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与える。
- 適正な雇用管理並びに職業能力の開発及び向上に関する措置を行う。
しかし、障害者を雇用するには、施設・職場環境の改善や整備が必要となります。また雇用管理等も配慮が必要となることが多く、雇用義務を果たしている事業主と、雇用義務を果たしていない事業主と経済的負担の差が出来てしまいます。
その経済的負担の調整、並びに雇用の促進・継続を図るために『障害者雇用調整金・障害者雇用納付金制度』があります。
今回は『障害者雇用納付金制度』についてご説明いたします。
制度の対象
この制度の対象は、常時100人を超える労働者を雇用する事業主です。
100人を超える事業所は雇用する障害者の人数が、『法定雇用障害者数』以上であるようにしなければなりません。
法定雇用障害者数は、下記の式で算出します。
雇用労働者数(短時間労働者の場合は0.5人とカウント)×障害者雇用率(2.5%)
=法定雇用障害者数(1人未満端数切捨て)
※短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上〜30時間未満の労働者をさします。
障害者法定雇用率は令和6年4月から2.5%ととなり、令和8年7月からは2.7%と段階的に引き上げがされています。
申告申請と納付金
申告申請をしなければならない事業主の範囲は、前年度(令和5年4月1日〜令和6年3月31日)の各月ごとの算定基礎日における常用労働者の総数について、100人を超える月が5ヶ月以上である事業主となります。
100人を超える月と超えない月を合わせた12ヶ月分の申告をする流れとなります。
年間の法定雇用障害者数を下回っていた場合、不足人数1人当たり月額50,000円が徴収されます。
納付金の額は、下記の式で算出します。
(各月の算定基礎日における法定雇用障害者数の年間合計−
各月毎の算定基礎日における常用労働者数の年間合計数)×50,000円
令和6年度は4月1日〜5月15日までに申告申請が必要です。
申告並びに納付金の徴収は『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構』が行います。
障害者雇用納付金の改正点(令和6年4月)
① 障害者の法定雇用率の引き上げ
2.3%→2.5%に引き上げられました。
② 特定短時間労働者の実雇用率への算定
週所定労働時間が10時間以上20時間未満に重度障害者、重度知的障害者及び精神障害者について、雇用率上1人0.5人カウントできるようになりました。