コラム

【令和5年版】年末調整Q&A

街並みが赤や緑に溢れて、冬を楽しむ準備が進んできましたね。
年末調整事務は順調に進んでいらっしゃいますか?
前回のコラムに続き、年末調整のよくある質問をまとめました!

ぜひご覧ください。

転職・退職・ダブルワーク等に関すること

本年中途での転職入社者の年末調整について

本年(1~12月)の中途に入社した人で、本年中に前職でも給与の支払いを受けていた人は、前職の給与(甲欄適用)と入社後に支払われた給与とを合計して年末調整をします。

この場合、前職分の給与や源泉徴収税額、社会保険料など、年末調整を行う際に必要な事項は、前職の給与支払者から交付される「給与所得の源泉徴収票」などにより確認します。

しかし、前職分の給与や源泉領収税額が不明な場合は、年末調整を行うことが出来ません。

その場合、12月分の源泉徴収税額の計算は、通常の税額計算と同じ方法で行い、本人が確定申告をして税額の精算の流れとなります。

年末調整の前に退職した場合について

年の途中で退職した場合、その社員(従業員)についての年末調整は退職前の会社では行いません。 次の転職先(再就職先)の会社で年末調整する事になります。

退職して年内に再就職(再就職が翌年になる場合も含む)しなかった場合は、翌年に確定申告を行います。(特別な時期に年末調整を行う人を除く)

ダブルワークの場合の年末調整について

年末調整を受けるためには、原則として企業(雇用主)に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出をする必要があります。

この申告書の提出先は一つのみと限定(1度に1人1枚)されておりますので、年末調整が受けられるのは1か所の勤務先のみです。

一般的に収入の多い勤務先(本業)で年末調整を行います。副業については、原則、確定申告をする必要があります。

就職前に受けていた失業保険について

雇用保険法による失業給付金(いわゆる失業手当)は、非課税所得とされています。
したがって、年末調整の対象となる給与に含めません。

扶養控除・配偶者控除に関すること

共働き夫婦の(控除対象)扶養親族の振り分けについて

同一世帯に2人以上の所得者がいる場合、(控除対象)扶養親族をどの所得者の(控除対象)扶養親族とするかは、原則として扶養控除申告書に記載されたところによります。

例えば共働きの夫婦が長男Aを夫の、次男Bを妻の(控除対象)扶養親族とすることは可能ですが、長男Aを夫と妻で重複して(控除対象)扶養親族とすることは認められません。

留学している子(学生)の扶養控除について

扶養親族に該当するかは、次により判定します。

① その給与所得者と生計を一にしている親族であるか
→子供が学生で生活費の大半を親からの仕送りにより賄っていれば、生計を一にしていると認められます。

② 本年中の合計所得金額が48万円以下であるか
→あくまでも国内源泉所得である合計所得金額のみで判定するので留学先の現地で働いて得たアルバイト収入はこの判定には含めません。子供が1年以上の予定で出国したのであれば所得税法上の非居住者に該当します。

なお、現地でのアルバイト収入が極めて多額になる場合は、生計を一にしていると認められないこともあります。

年末調整の前に離婚した場合の配偶者控除について

年末調整での配偶者控除や扶養控除の判断は「その年の12月31日の現況で判定」されます。
つまり、12月31日までに離婚が成立していた場合、配偶者控除や子どもの扶養控除が受けられませんが、離婚の成立が翌年1月1日以降であればこれらの控除を受けられることになります。

年末調整前に配偶者が死亡した場合の配偶者控除について

死亡した場合の年末調整での配偶者控除や扶養控除の判断は死亡した時の現況において、判定されます。
該当要件を満たしている場合には、所得控除の適用を受けることができます。所得税法に規定(扶養親族等の判定の時期等)があり、対象となる者の「死亡の時の現況による」とされています。

また、配偶者と死別し、本年中に再婚(控除対象配偶者)した場合は、いずれか1人だけが控除対象配偶者となります。

療育手帳の所持者について

療育手帳の「判定記録」の「障害の程度」欄を確認し取り扱います。

「A」と表示:特別障がい者
「B」と表示:一般の障がい者

大学の通信教育生について

学校教育法1条に規定する学校が監督庁の認可を受けて行う通信教育課程の通信教育生で、 その課程履修後は通信教育生以外の一般の学生等と同一の資格を与えられる人であれば、ほかの要件を満たす限り、勤労学生として認められます。

保険料控除に関すること

生命保険料の払込証明書の添付漏れについて

原則、金額にかかわらず生命保険料控除を受けるにはすべて証明書の添付や提示が必要です。

例外として、平成23年12月31日以前に締結した旧区分の生命保険の場合は「年間保険料が9000円以下」のものに限り、証明書の添付や提示がなくても生命保険料控除の対象として計算することができます。

本年中途で解約した保険の払込保険料について

その保険料が本年中に実際に支払われていれば、本年の中途で解約した契約に基づくものでも生命保険料控除の対象とできます。

住宅ローン控除に関すること

家を購入した場合の住宅ローン控除について

住宅ローン控除を受ける最初の年に確定申告をします。これは会社員の場合でも同様です。
なお、確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目以降は年末調整での住宅ローン控除が可能となります。

また、令和4年度中に住宅の購入・増改築を行い、令和5年度以降、年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合は、電子交付された住宅借入金等特別控除証明書のデータをダウンロードし、年末残高等証明のデータ(又は書面)と併せて給与の支払い者に提出が必要となります。

年末調整に間に合わない住宅ローンの残高証明書について

金融機関等から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」ですが、何らかの事情により年末調整に間に合わない場合には、年末調整での住宅借入金等特別控除は認められません。
このような場合は、翌年に本人が確定申告をすることによって控除を受けることができます。

その他

所得金額調整控除申告書の提出について

所得金額調整控除はその年中の給与等の収入金額が850万を超える人が対象となる控除です。(その他の要件に該当することも必要です。)

申告書を記載する段階で、本年の給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが不明の際であっても、所得金額調整控除申告書に必要事項を記載し、提出します。この場合、結果として850万円を超えた場合のみ所得金額調整控除が適用されることとなり、超えなかった場合は申告書を提出していても控除の適用はありません。

年末調整を訂正する方法について

年末調整の訂正は、翌年1月31日まででしたら、年末調整の再調整の対象となり、社内で行います。

翌年1月31日を過ぎてしまった場合は、社内でやり直しが出来ず、自分自身で確定申告をして訂正する必要があります。

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