産前産後休業~育児休業の流れ
2022年10月1日に「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されました。
今回、上記を盛り込んだ出産に関する手続きの流れをまとめましたので、是非ご確認ください。
産前産後休業~育児休業フローチャート
①産休中・育休中の住民税について
住民税は前年所得により決定されるため、産休・育休中であっても支払い義務があります。
通常、住民税は給与から徴収(特別徴収)されますが、産休・育休を開始するタイミングによって納税方法に変更があります。
1月~5月に産休・育休開始
→ 休業に入る前の最後の給与から住民税額が一括徴収されます。
6月~12月に産休・育休開始
→ 普通徴収に切り替え、個人で納付します。
②出産手当金の手続き
出産のため会社を休んだ時は、出産手当金が支給されます。
健康保険に加入している女性社員が対象になります。
勤務先の健康保険組合や協会けんぽに「健康保険出産手当金支給申請書」を提出します。
③出産育児一時金の確認
出産育児一時金は、健康保険・国民健康保険などの医療保険に加入している被保険者や被扶養者が出産した場合に国から一時金を受けられる制度です。
支給金額は出産する医療機関により異なり、40万4千円~42万円となります。
支給方法には直接支払・受取代理・事後申請の3つがあり、直接支払制度の利用が一般的です。
直接支払は、医療機関等が被保険者に代わって協会けんぽに申請を行うことで出産育児一時金の支給が行われるため、被保険者等が医療機関等の窓口で出産にかかった費用を支払う必要がありません。
④健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申請
従業員が産休(産前42日産後56日のうち、妊娠・出産を理由として労務に従事しなかった期間)に入る間について申請を行うことで、従業員だけでなく会社側も社会保険料免除を受けられる制度です。
「産前産後休業取得者申出書」を記入し、産前産後休業期間中に日本年金機構へ提出して申請します。
⑤産前産後休業終了時報酬月額変更届
産前産後休業を終了し職場に復帰した後、働き方の変更に伴って報酬が低下した場合は随時改定に該当しなくても産前産後休業の終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に受けた報酬月額の平均によって標準報酬月額の改定を行うことができます。
被保険者の申し出を受け、「産前産後休業終了時報酬月額変更届 厚生年金保険 70歳以上被用者産前産後休業終了時報酬月額相当額変更届」を日本年金機構に提出して申請します。
⑥健康保険・厚生年金保険育児休業取得者申請
従業員が育児休業取得期間について申請を行うことで従業員だけでなく会社側も社会保険料免除を受けられる制度です。
申請方法は「育児休業取得者申出書」を記入し、育児休業開始後に日本年金機構へ提出して申請します。
⑦育児休業給付の手続き
雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育する目的で育児休業を取得した場合、育児時休業給付金を受け取ることができます。
① 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
② 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
と添付書類(出勤簿・賃金台帳・母子手帳写し等)を管轄のハローワークに提出して申請を行います。
※①については複写の用紙となっているため最寄りのハローワークにお問い合わせいただくか電子申請をご利用ください
⑧出生時育児休業(産後パパ育休)の手続き
出生時育児休業(別名産後パパ育休)は、子が1歳に達するまでの育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な休業制度としてR4.10.1より施行されました。
遅くとも休業の2週間前までに申し出ることで子の出生後8週間以内に4週間まで取得が可能です。
「育児休業申出書」等の社内様式を使用して申し出を受けることとし、会社は育児休業申出書を提出した従業員に対して「育児休業取扱通知書」等を交付してください。
⑨育児休業終了時報酬月額変更届
育児休業を終了し、職場に復帰した後に働き方の変更に伴って報酬が低下した場合は随時改定に該当しなくても、①育児休業終了日に3歳未満の子を養育していること
②育休前の標準報酬月額と改定後の報酬月額に1等級以上の差があること
③育休終了日の翌日が属する月以後3か月間に支払基礎日数が17日以上あること 等
の条件を満たすことで被保険者からの申し出を受け標準報酬月額の改定を行うことができます。
申請は「育児休業等終了時報酬月額変更届」を日本年金機構に提出して行います。
⑩厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書
養育期間標準報酬月額特例とは、3歳未満の子の養育期間中に働き方の変更に伴って報酬が低下し標準報酬月額が養育開始前よりも低下した場合に、将来支給される老齢厚生年金の額に影響が無いよう年金計算時には低下前の報酬として取り扱うことです。
従業員からの申し出により、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出し申請を行います。
⑪育児休業給付延長の手続き
育児休業給付金は前述の通り1歳未満の子を養育する目的で育児休業を取得した場合に受け取ることができます。ただし希望しているにもかかわらず保育所等に入所できないなどの条件を満たした場合に最大2年まで育休を延長することができ、その間は育児休業給付金も申請することが可能です。
1歳6カ月まで延長したい場合は1歳の誕生日の2週間前までに、2歳まで延長したい場合は1歳6カ月になる翌日の2週間前までに申請の必要があります。
以上のように、出産・育児に関する手続きは複数あります。
申請等、お忘れのないようご注意ください。
お困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせください。