外国人雇用で気を付けるべきポイント
令和7年10月末時点で、日本における外国人雇用事業所数は過去最高の約34万を上回ることが「外国人雇用状況」届出の集計結果で分かりました。また、今後もますます外国人労働者の雇用が拡大すると見込まれることから、雇用主は、在留資格や社会保険制度に関して理解を深め、正確な対応を行うことが求められます。ここでは、入社から退職までの流れの中で特に重要となるポイントを整理しました。


1. 在留資格・在留期間の確認
外国人を雇用するにあたり、「在留資格」を有しているか確認することが必要です。
外国籍の方は出入国管理及び難民認定法で定められている在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限り、就労等の在留活動が認められているからです。
ですので、就労させようとする仕事の内容が、在留カードに記載された「在留資格の範囲内か」また「在留期間が満了していないか」を確認する必要があります。在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格は18種類あり、一般に雇用のケースが多いと考えられるものとして「技術(コンピューター技師など)」「人文知識・国際業務(通訳・デザイナーなど)」「企業内転勤(海外の本店や支店から期間を定めて受け入れる社員)」「技能(料理人など)」が挙げられます。
また、就労制限がない在留資格が4種類あります(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)。この資格の場合は日本人と同様にさまざまな分野で活動が可能です。
労働条件通知書や就業規則には下記の旨を入れておくと、双方の誤解やトラブルを防ぎ、適切な対応につながります。
- 「在留資格が就労可能な場合にのみ労働契約が有効である」
- 「在留期間の満了後、更新が認められなかった場合はその時点で契約終了となる」
内定段階で、想定される業務に適合する在留資格が取得できなかった場合、残念ながら内定を継続することができない場合があります。
また、勤務開始後であっても在留期間の更新が認められなかった場合は、日本国内での就労自体を続けることが難しくなるため、法令上、雇用契約も継続できません。
こうした場合には、自然退職として取り扱うことで、スムーズな手続きが可能になります。企業として、外国人労働者が安心して働けるよう、法令を遵守しながら雇用を進めることが大切です。透明性のあるルールを示すことで、安心して働ける環境づくりにもつながります。


2. 労働条件通知書の言語対応
労働基準法第15条に基づき、外国人労働者との労働契約の締結に際し、労働条件通知書を交付する必要があります。
事業主は、外国人従業員が適正な労働条件や安全衛生を確保できるようにしなければなりません。法的義務ではなく推奨ですが、外国人労働者が理解できるよう、英語版や母国語版を併せて交付する、または日本語版の労働条件通知書にフリガナを付けて通知すると、労務トラブルを防ぎ、労使間の信頼関係を構築する上で有効な対応です。


3. 社会保険加入の取扱い
健康保険法・厚生年金保険法の適用要件は、日本人労働者と同一です。
手続きにあたり、住民票を提出してもらうと、氏名のフリガナ確認ができ手続きが円滑に進みます。また、基礎年金番号と個人番号(マイナンバー)が未連携の場合、資格取得届と併せて「ローマ字氏名届」を提出する必要があります。
なお、被扶養者認定は、日本国内に住所(住民票)を有しており、被保険者により主として生計を維持されていること等の要件がありますが、日本国内に住所を有する場合であっても、日本国籍を有しておらず、「特定活動(医療目的)」「特定活動(長期観光)」で滞在する外国籍の方は、被扶養者には該当しません。
また、海外において被用者として就労する人が事業主により日本に派遣される場合、「社会保障協定」の有無を確認し、二重加入を避ける対応が必要です。社会保障協定が発効されていない場合、日本の社会保障制度に加え、派遣元国の社会保障制度に加入しなければなりませんが、協定発効により、原則として就労する国の社会保障制度のみに加入することになります。
一方で、事業主により、日本に5年を超えない見込みで派遣される場合(一時派遣)には、協定の例外規定が適用され、引き続き派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日本の社会保障制度の加入が免除されるケースもあります。(協定により、派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始日から5年間は派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日本の社会保障制度の加入が免除されます)社会保障協定の対象国かどうかは、日本年金機構のホームページで確認できます。


4. 外国人雇用状況届出
雇用対策法第28条に基づき、事業主は外国人を雇用・離職させた際に「外国人雇用状況届出」をハローワークへ提出する義務があります。
雇用保険資格取得者は「雇用保険被保険者資格取得届・資格喪失届」に、雇用保険加入要件を満たしていない外国人労働者は「雇入れ・離職にかかる外国人雇用状況届出書」に氏名、在留資格、在留期間等を正確に届け出る必要があります。

5. 脱退一時金(国民年金)
日本では、老齢年金は原則10年以上加入しないと受給できないため、短期滞在の外国人労働者は支払った保険料を将来の年金として受け取れない場合があります。
そのため、一定条件を満たした場合に限り、脱退一時金という「清算」の仕組みが設けられました。
国民年金の場合、下記の事由全てに該当し、日本に住所を有さなくなった日から2年以内に「脱退一時金」の請求ができます。
- 保険料納付済期間等の月数の合計が6ヶ月以上ある
- 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない
- 障害基礎年金などの年金を受ける権利を得たことがない
現在は、脱退一時金の計算に使用する納付済み月数の上限が60ヶ月(5年)ですが、令和7年6月13日に成立した年金制度改革法により、年金加入期間の上限が8年に引き上げられました。(施行時期は未定です)



法改正や制度変更は随時行われるため、常に最新情報を確認し、正確な労務管理を行うことが重要です。
