コラム

最低賃金制度について

最低賃金制度とは

最低賃金法に基づいて国が定める賃金の最低限度額の事です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

最低賃金は、年齢、性別、正社員、パート、アルバイトといった違いに関係なく、働くすべての人に適用されます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

2種類の最低賃金法

◇地域別最低賃金

一定地域ごとの最低賃金のことで、地域における労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払い能力を総合的に勘案して定めるものとされています。
都道府県ごとにそれぞれ最低賃金が定められています。

◇特定(産業別)最低賃金

特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されています。

違反した場合のリスク

●最大で過去3年分の差額を支払わなければならない

給料が最低賃金を下回っていれば、いずれは社員からその差額の支払いを求められます。

●罰金がある

最悪のケースは、罰則として50万円以下の罰金(地域別最低賃金に違反)または30万円以下の罰金(特定最低賃金に違反)に処されます。

●社員の士気が低下する

法令遵守が重視される今の世の中で最低賃金に違反していることが発覚すれば、その会社で働きたいと思う人は減るでしょう。

ここがポイント!

労働基準監督署による立ち入り調査で発覚した場合は、社会保険労務士に依頼する事をおすすめします。

立ち合いを依頼することで、労基署とコミュニケーションを取りながら会社の実情を踏まえた対応を行うことができます。

また、労基署に対して改善や法令順守の姿勢をアピールすることもできます。

最低賃金の減額の特例

一般の労働者と労働能力などの点から、最低賃金を一律に適用することが必ずしも適当ではない場合について、都道府県労働局長の許可を受けることを条件として 個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
  2. 試の使用期間中の者
  3. 職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定のもの
  4. イ 軽易な業務に従事する者
    ロ 断続的労働に従事する者

ここがポイント!

試用期間中や研修期間を設けている会社は数多くあります。試用期間中でも最低賃金法は適用されます

「試の使用期間」中に減額対象労働者の賃金を最低賃金額未満とすることに合理性がある場合には、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。しかし試用期間を理由とする減額特例の許可は、ほとんど無いのが実情です。

また、間違っても「試用期間中だから」という理由で、許可を受けずに最低賃金を下回ることのない様、ご注意ください。

最低賃金引き上げに対して活用できる助成金!

【業務改善助成金】

業務改善助成金とは、

①事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる
②生産性向上のための設備投資等を行う

の2点を行った場合、②の設備投資などにかかった費用の一部が助成される制度です。

〇事業場内最低賃金の引き上げ

まず、本助成金を申請する際の要件として、「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること」があります。

たとえば、令和5年9月現在で大阪府の地域別最低賃金は1,023円なので、事業場内最低賃金が1,023~1,073円である必要があります。
ここから、30円以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合に要件を満たすこととなります。

引き上げ金額や引き上げる労働者数によって受けられる助成上限額が変わりますので、詳しくは資料をご参照ください。

また、令和5年10月から発効される地域別最低賃金の改定に合わせて、事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げなくてはならないので注意が必要です。

たとえば大阪府は令和5年10月1日から最低賃金が引き上げられるため、令和5年9月30日までに、事業場内最低賃金を引き上げておく必要があります。

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