経営者・人事担当者向け 【2026年度法改正一覧】
2026年も、育児・介護、女性活躍推進などを中心とした法改正が予定されています。
内容を正しく把握せずにいると、現場対応の遅れや思わぬリスクに繋がることもあります。このコラムでは、経営者・人事担当者向けに法改正情報をまとめ、ポイントを解説していきます。


カスタマーハラスメント対策の義務化(労働施策総合推進法改正)
施行日:令和7年6月11日公布日起算で1年6ヶ月を超えない範囲内(令和8年10月施行予定)
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの
事業主が講ずべき措置の内容等は、今後指針で示される予定です。事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置などが想定されています。
経営者・人事担当者が行うべき対応
「就業規則の改定」「社内マニュアルやルールの明文化」「従業員教育・研修」「相談窓口の設置」「サポート体制の周知徹底」等が必要となります。
既存のハラスメント相談窓口を活用した体制を検討してください。
就活等セクハラ対策義務化(男女雇用機会均等法改正)
施行日:令和7年6月11日公布日起算で1年6ヶ月を超えない範囲内(令和8年10月施行予定)
事業主が講ずべき措置の内容等は、今後指針で示される予定です。就職活動中の学生、一般の求職者のほか、インターンシップ、OB·OG訪問や説明会等の参加者等に対してセクハラを防止するために必要な措置を講じることが事業主の義務とされます。
経営者・人事担当者が行うべき対応
求職活動等の範囲については、指針で考え方や具体例が示される予定ですが、「就業規則の改定」「社内マニュアルやルールの明文化」「従業員教育・研修」「相談窓口の設置」等が予定されています。

えるぼし認定制度の見直し(女性活躍推進法)
施行日:令和8年10月
全3段階の認定基準がある「えるぼし」のうち1段階目の要件を見直すほか、すべての認定段階でプラスできる「えるぼしプラス」(仮称)が創設されます。「えるぼしプラス」(仮称)の認定要件は、女性の健康上の特性に配慮した休暇制度とともに、①半日単位・時間単位の年次有給休暇、②所定外労働の制限、③時差出勤、④フレックスタイム制、⑤短時間勤務、⑥テレワーク等のうち、いずれかの制度を利用できることなどがあります。なお、各制度の対象は、女性に限定しなくても差し支えないとされています。
プラチナえるぼし認定の条件追加(女性活躍推進法)
施行日:令和7年6月11日公布日起算で1年6ヶ月を超えない範囲内
認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることが追加されます。

在職老齢年金制度の見直し(年金制度改正法)
施行日:令和8年4月1日
支給停止となる収入基準額が62万円に大幅に引き上げられる点が大きな特徴です。在職老齢年金は、賃金(賞与込み月収)と年金の合計額が支給停止調整額を上回る場合に、年金額を減額するしくみです。
人材確保や技能承継などの観点から、年金の減額を意識せずに働ける環境を広げることで高齢者の活躍を後押しすることを目的としています。
離婚時の年金分割の請求期限の伸長
施行日:令和8年4月1日
現行の年金制度は、離婚する際、婚姻期間に係る厚生年金の計算のもととなる保険料納付記録について夫婦間で分割すること(離婚時の年金分割)ができます。民法における離婚時の財産分与請求権の除斥期間が2年から5年に伸長されることから、離婚等をした場合における標準報酬の改定又は決定の請求について、その請求の期限を5年(改正前は2年)とする改正になります。

子ども・子育て支援金納付制度(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)
施行日:令和8年4月1日
雇用保険の出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金、自営業者やフリーランス(国民年金第 1号被保険者)の育児期間中の保険料免除などの財源とされる「子ども・子育て支援納付金」は、令和8年度から医療保険料とともに徴収が開始されます。健康保険の場合は、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に、それぞれ一般保険料率と子ども・子育て支援金率とを合算した率を乗じて得た額を保険者が徴収します。
経営者・人事担当者が行うべき対応
「子ども・子育て支援金」は、従業員の給与から徴収し、事業主分を合わせて納付します。4月分(5月徴収)になりますので、毎年、健康保険料率が変更されている時期(3月分、4月徴収)とずれが生じる場合、4月と5月の給与計算で保険料率を変更するケースがあります。また、給与明細上、新しい支援金を明確に区別して表示しなければならない可能性があります。
男女間賃金差異の情報公表義務の対象拡大/女性管理職比率の情報公表の義務化(女性活躍推進法)
施行日:令和8年4月1日
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画では、これまで従業員数301人以上の事業主を対象に男女間賃金差異及び、①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供、②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備、に関する各項目から、それぞれ1項目以上(計2項目以上)の公表が義務づけられ、同101人以上300人以下の事業主には、上記①②いずれかから1項目以上の公表が義務づけられていました。
令和8年4月から、従業員数301人以上の事業主には、男女間賃金差異に加えて女性管理職比率の情報公表が必須項目に追加されます。さらに、上記①②2項目以上の情報公表が義務づけられます。
同様に、従業員数101人以上300人以下の事業主にも、男女間賃金差異に加えて女性管理職比率の公表が必須とな り、さらに上記①②いずれかから1項目以上の情報公表が義務づけられます。
経営者・人事担当者が行うべき対応
公表については、「自社ホームページで掲載」、または「女性の活躍推進企業データベース」サイトに掲載する方法もあります。
「両立支援のひろば」次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画と育児・介護休業法に基づく育児休業取得率等の公表を行うためのウェブサイト
「女性の活躍推進企業データベース」女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画と自社の女性活躍に関する情報の公表をするためのウェブサイト

障害者雇用率の引上げ(障害者雇用促進法)
施行日:令和8年7月1日
障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、令和6年4月から民間企業は2.5%となっています。令和8年7月以降は、これが2.7%に引き上げられます。従業員を37.5人以上(短時間労働者は1人を0.5人とカウント)雇用している民間企業の事業主は、障害者を1人以上雇用する必要があります。
経営者・人事担当者が行うべき対応
法定雇用率の引き上げに合わせて、企業は障害者雇用率を正しく把握するとともに、障害者雇用を増やさなければなりません。
障害者情報の管理や障害者が働きやすい環境の整備等の対応が必要となります。
高齢者の労働災害防止の推進(安衛法)※努力義務
施行日:令和8年4月1日
労働安全衛生法の改正により、令和8年4月か ら、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることが事業者の努力義務となります。事業者が講ずべき措置に関しては、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を厚生労働大臣が公表します。指針に基づき、厚生労働大臣が事業者またはその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができます。
指針に関しては、現行の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」をもとに、一部見直しを行い、策定する方針が示されています。

治療と就業の両立を促進する措置等(労働施策総合推進法改正)※努力義務
労働施策総合推進法の改正により、令和8年4月から、疾病を抱える従業員がその治療をしながら就業を継続できるよう、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講ずることが事業主の努力義務となります。
これまでも労働安全衛生法において、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められており、その観点から治療と仕事の両立のために必要な措置などが位置づけられていましたが、労働施策総合推進法においても両立しやすい環境整備を事業主に求めることになります。
安全衛生対策の推進等(改正労働安全衛生法及び作業環境測定法)
[化学物質による健康障害防止対策等の推進]
- 化学物質の譲渡等実施者による危険性・有害性情報の通知義務違反に罰則が設けられます。
施行日:公布後5年以内に政令で定める日 - 化学物質の成分名が営業秘密である場合に、一定の有害性の低い物質に限り、代替化学名等の通知が認められます。
施行日:令和8年4月1日 - 個人ばく露測定について、作業環境測定の一つとして位置付けられ、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図ることとなります。
施行日:令和8年10月1日 - 新規化学物質の有害性の調査結果等の届出又は申請が原則電子化されます。
施行日:令和8年7月1日
[機械等による労働災害の防止の促進等]
- ボイラー、クレーン等に係る製造許可の一部(設計審査)や製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲が拡大されます。
施行日:令和8年4月1日 - 登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、不正への対処や欠格要件が強化され、検査基準への遵守義務が課されます。
施行日:令和8年1月1日
[職場のメンタルヘルス対策の推進]
- 従業員数50人未満の事業所もストレスチェックの実施が義務化されます。
施行日:令和7年5月14日公布日起算で3年以内 ※最も遅くて令和10年施行


