「傷病手当金」の支給期間が改正!
支給期間が通算可能となりました。
健康保険の「傷病手当金」とは、病気やケガで休業中であっても給料の3分の2が支給される制度です。
その支給期間の計算方法が改正によって変わります。概要を解説します。
傷病手当金の内容
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気・けが(私傷病)で療養のための所得保障として支給される給付金になります。
療養のために働けなかった日の4日目から支給されることになり、1日単位で計算、支給されます。
▽4つの要件
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 労務不能(仕事に就くことが出来ない)であること
- 継続する3日間の待期期間を満たしていること
- 給与の支払いがないこと
▽待期期間のルール
- 起算日は、原則労務不能となった日となる
- 年次有給休暇で処理する事ができる
- 同一の傷病等について1回のみ行う
- 公休日にあっても、待期期間に含む
▽傷病手当の計算式
傷病手当金の1日当たりの支給額は、「支給開始日以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2」が支給されます。
もし、標準報酬月額が定められている月が12ヶ月に満たない場合については、
- 支給開始月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額の30分の1相当額
- 支給開始月の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1相当額のいずれか少ない額を用いて、その3分の2を掛けた額
で支給されることになります。
傷病手当金を受けることが出来る期間に、会社から報酬が受けられる場合、原則として傷病手当金は支給されません。
ただし、傷病手当金の額より会社からの報酬が少ない場合は、その差額分の傷病手当金が支給されます。
傷病手当金の支給期間の改正 通算化とは?
傷病手当の支給期間は、同一の傷病等に関し、支給開始日から起算して1年6ヶ月を限度とします。(暦で数えた日数)
この期間は実際に傷病手当金が支給されていたかどうかは関係なく、 職場復帰して支給されない期間があったとしても、1年6ヶ月たてばその後は支給されなくなります(【図表1】)。
今回の法改正(2022年1月)から、「歴の通算」から「実際に傷病手当金が支給されていた期間の通算が最長で1年6か月」になります。
これまでは復職などの出勤に伴い不支給になっていた期間の傷病手当金を延長して受けられるようになります。(【図表2】)。
◎会社人事部の対応
社員が働けず、給与を受けられない場合、それを補うものとして健康保険から受け取る傷病手当金は、大事な所得補償になります。
以前より補償が手厚くなることになりますので、人事部は対象社員の通算日数などを正確に把握する事が大事です。
しっかり療養して職場復帰してもらえるように、現在、傷病手当金を受給中もしくは受給期間を残して復職している社員には、通算化をしっかり説明する必要があります。
傷病手当金の支給期間の通算化の施行期日は2022年1月1日です。今から経過措置の確認や受給期間の確認をしておくとよいでしょう。